…一人の少年が町を目前にして行き倒れました。
悪夢にうなされた少年が思わず飛び起きると、そばで看病していた少女を驚かせてしまいます。
悲鳴を聞いて様子を見に来た喫茶店の女主人は何を勘違いしたか、少年に往復ビンタをかまします。3日間飲まず食わずだった少年は無抵抗でした。看病していた少女が女主人の誤解を必死で解こうとし、その場は収まりました。
行き倒れていた少年ライセは、女主人アンゼリカの手料理をごちそうになり、助けてくれた少女キサラにお礼を言うために庭に出ました。
庭は、とてもきれいな花で埋め尽くされていました。キサラの心がこもっているのでしょう、競うように咲き誇っています。それらに囲まれてキサラとライセはいろいろ話をしました。
雑談が終わった頃合いを見計らったかのようにライセの前にビリディスが現れます。キサラが持つ親の形見の植物の種子は、伝説の樹「カルパ=タルー」の種子と噂されているため、何としてでも手に入れようとしている町一番の無法者です。
ライセはビリディスとの会話に出てきた「カルパ=タルー」という言葉に触発され、アンゼリカたちに事実関係を確認します。そして、キサラが持つ種子は「カルパ=タルー」とは無関係であることを確認して、ビリディスに彼女たちをそっとしておくよう交渉します。
しかし、ビリディスは戯れ言だと思って聞き入れません。逆にライセを殺そうとしますが、ライセが操る伸縮自在の木の杖によって部下をまとめて斃されてしまい、顔色を失います。
そこへライセが心配で様子を見に来たキサラがやってきました。形勢逆転の糸口とするため、キサラを人質に取ったビリディスですが、ライセが「カルパ=タルー」の杖の力を開放したために斃されてしまいます。ビリディスは死の直前にはじめてライセの話が本当であったことを悟るのでした。
次の日。命の恩人から貰った白い花とともに旅を再開するライセと、無法者を斃してくれた旅人の話をするアンゼリカとキサラの姿が見られました。
…ある町に、青い髪と青い眼を持つ1人の若者が立ち寄りました。名前をライセといい、姉を探してあてのない旅に出ています。
ライセは、空腹を満たすために食堂に立ち寄りましたが、謎の双子が起こしたトラブルに巻き込まれてしまいます。
双子がケンカを売り逃げした血の気の多い荒くれ者を撃退するために、ライセはカルパ・タルーの杖の力を解放しました。それを目の当たりにした双子の兄弟…セタとユタはライセに付いていくことを決意しました。
なんとかトラブルを回避したライセは、双子の動向を気に留めることなく調査を開始します。手がかりは自らが持つカルパ・タルーの杖がときたま引き起こす共鳴・感応効果のみです。
ライセは何かと話し掛けてくる双子をいい加減にあしらいながら、街を歩いていると、カルパ・タルーの杖が突然鳴り響きました。近くにカルパ・タルーの木片がある証拠であり、ライセ・セタ&ユタが捜し求めている対象の手がかりにもなっている現象です。
その共鳴が突然止みました。周りを見渡すと、1人の少女が目に止まりました。その少女はクレハといい、…何のために旅しているんでしょう?(爆)
とにかく、手がかりが見つかったのです。少女に話し掛けようとするライセですが、しかし、クレハは何を勘違いしたのか、ライセから逃げ出してしまいます。後を追うライセですが、痴漢と勘違いされて平手打ちを食らいました。
ライセは諦めきれずにクレハを探し、4人の暴漢に囲まれているクレハを救出しました。
しかし、クレハはライセが求めている情報は何も持っていませんでした。落胆し、次の街に行こうとするライセに、クレハは一緒に付いて行こうとします。さらにセタ&ユタも当たり前のような顔をして同行してきます。
こうしてライセは、気ままな1人旅から、3人のお守りをしなければならないハメになったのです…。
しかし、そうは問屋が卸しません。
ルクレイム教団が放った刺客、ハクロウがライセ相手に少年漫画のお約束、ガチンコ勝負を挑みます。
めまぐるしい殺陣の末、カルパタルーが発動、ハクロウは吹っ飛び、ライセは後悔したところで2巻に続きます。
カルパタルーの力を解放したライセは反動で高熱を出して寝込みます。
甲斐甲斐しく看病するクレハ、携帯電話を取り出してどこかと連絡をとるセタとユタ。
タヅマも初登場、メンフィズのバーのマスター相手に与太話をしています。
快癒したライセはメンフィズまで歩きますが、子供2人と女性1人をお供につれていては辿り着けるのも辿り着けず、とおりすがりの脱輪馬車を救出して荷台に乗り込んでようやくメンフィズに到着。
馬車の持ち主であるゼンの家にお世話になることにします。
かくしてメンフィズの夜は更けていき、……突然のカルパタルーの共振。
墓地から異形のものが起き上がり、メンフィズ自警団と大立ち回り。共振を感じとったライセが駆けつけ、タヅマも解説役として同行、遅れてセタとユタも到着、役者はそろいました。
カルパタルーの力で異形のものとサキタ団長の願い……安らかな死を与えて長い長い夜がようやく終りました。
一部始終を眺めていたシコウが行動を起こし、ライセの前に姿をあらわして以下3巻。
シコウの登場にすばやく反応して、セタとユタが
あっさり魔方陣を破られ、セタとユタは気絶。シコウは貧血を理由に
この間、ライセは一歩も動けませんでした。
人知れずうじうじ悩むライセ、そんなライセを一発で見つけ出すタヅマさんもなにやらすごいと思いますが、ライセはそんな彼らを自分の目標を達成するための使い捨ての道具にすることを決意します。
……決意しただけで、実際の行動はっさっぱり伴っていないのがライセのライセたるゆえんですけれども。
ライセはてはじめにセタとユタを尋問してルクレイム教団についての情報を引き出そうとしますが、姉を探すてがかりの1つ、「いれずみの男」があっさり出てきて動揺、そんなライセをセタは冷ややかに見ています。
その頃、クレハはシコウに再会します。クレハはクレハなりに一生懸命だと思うのですが、「知らない人について行っちゃダメ」とかガリュウさんあたりに言われなかったのでしょうか?
「知り合えば他人じゃありません」てクレハちゃん……。
男女2人っきりのところに水をさす野暮な男、インコ連れのセキさんが現れてクレハを刺す。側にいたシコウは刺されたクレハを見下ろして「上出来だ」。
はっと気が付いたクレハはベッドの上にいました。昨夜の記憶が生々しく蘇ります。主にライセによるお姫さまだっこを。
一連の騒動も一段落して、みんなでルクレイムに行くことを決意したころ、墓地ではサキタ団長がセキに襲われます。がんばれぼくらの団長悪い奴らをやっつけろー。
……返り討ちに遭いました。
……といったところで4巻に引きます。
ライセとセタとユタはクレハとタヅマをメンフィズに置き去りにしてさっさとバラグーンへ旅立ちます。
それを知ったクレハも追いかけようとし、タヅマも不承不承同行、1巻で消えたハクロウも華々しく再登場して、クレハとタヅマの後を3歩下がってくっ付いてきます。
途中で出会った行きずりの行商人にライセの行方を教えてもらいますが、絶妙のタイミングでハクロウが会話に割り込み、極めて自然な流れでハクロウもライセの行き先を知ってしまいます。
さぁどうするタヅマさんとクレハちゃん。
……その頃、ライセはペシャルーの街中で、双子のお守に心底ウンザリしていました。
チンピラが因縁つけてきたり、信者がわざとらしく倒れて介抱を期待したり、ルクレイム教団がこすいやり口でライセの注意を関心を引き、良くも悪くも面白いことがあれば便乗するセタユタのおかげでライセ一行はあざやかにルクレイム教団の手中に落ちます。
物陰からすっとセキが姿を見せ、ライセの深層心理を探り始めます。
お前らな、もうすこし警戒心というものをだな。
一方、ハクロウはクレハにカルパタルーの話を聞かされて動揺するもポジティヴ思考であっさり立ち直り。この辺はライセも見習っていただきたいところです。
そんな感じで、いよいよ一部完へ。
ライセの美化された回想から最後の1巻が始まります。
姉と過ごした日々は、1人のいれずみの男によって破られます。
男にうながされてライセがカルパタルーを取ると、ものすごい勢いで反応し、反応するのは回想シーンだけでなく現実でも反応し、セキはびっくりぎょうてんあっさりトンズラぶっこきます。
ライセがセタとユタの無事を確認したそのころ、野宿していたハクロウはシコウと接近遭遇しました。
あっさり一蹴されてしまい、ハクロウはヘコみます。でも持ち前のポジティヴ(…ポジティヴ?)思考であっさり立ち直りますが。
その頃、クレハとタヅマは街のチンピラ同士のいさかいの仲裁に入ります。女の子の太ももが目に入ったと言うだけで。
ヒサメを名乗るステキな女性と互いに知っていることの情報交換をして、バラグーンでの再会を願って別れます。
その頃、シコウはライセを襲撃して返り討ちに遭った男にカルパタルーを分け与えました。
何のために? もちろん、ライセと遊ぶために。
いつしか雨が降り始めたペシャルーの夜。カルパタルーが共鳴しました。
ライセとセタユタが反応し、シコウと出会います。シコウが造った異形のものにも出会います。
第1部最終話にふさわしい舞台が整いました。
迷いながらも剣に変化したカルパタルーを操って異形のものと戦うライセ。
そこへ共鳴に反応したクレハが飛び込んできます。タヅマも現れます。ハクロウも登場します。
オールスター総出演でシコウと対峙し、異形のものを消し去り、シコウを追い返します。セキもこっそり顔見せ。
見事なストーリー運びに感心していたら、最後の最後で新キャラ登場して第二部、パンゲアエゼル1巻に続く。